定期購入商法ファンソルが解散
被害回復期限迫る
勝山剣光堂ニュース 2020年12月13日
不実告知(消費者契約法第4条1項1号)および錯誤(民法第95条)を理由として、被害者に対する返金を大阪の消費者団体から求められていた健康食品販売会社「ファンソル」が10月20日付の株主総会決議により解散していることがわかりました。同社に対する債権回収の申し出は12月21日までに行わなくてはなりません。なお、手続の詳細および返金の実現見込みは、現時点では不明と同消費者団体はしています。
ファンソルは京都の消費者団体から差止訴訟を起こされている「ロータシア製薬」の別会社。この他にも「story」など複数の別会社を通じて定期購入商法による効果の不確かな健康食品の送りつけ・押し売りを行っているようです。なお、こうした一連の会社はコールセンター代行会社「スリーコール」と経営上のつながりがあるとされています。
定期購入商法をめぐっては、これを刑事罰の対象とする法案を来年の通常国会を経て早期に成立させる方針を消費者庁が表明していることから、今後、それを見据えた動きが同業他社の間でも活発化するものと考えられます。今回のファンソルの解散には出口戦略の実証実験という意味合いがあるものと見られています。
なお、ファンソルは今年9月14日に札幌在住の女性により返金を求める訴訟を札幌地方裁判所に起こされていました。
関連情報
- 消費者支援機構関西「緊急のお知らせ 『株式会社ファンソルの解散』について」2020.12.09(注1)
- 解散公告(官報号外第220号)2020.10.21(注2)
- Wellness Daily News「消費者支援機構関西、健康食品販売のファンソルに返金申し入れ」2020.08.17(注3)
- 消費者支援機構関西「ダイエットサポートサプリメント『王妃のめぐみ』を販売する株式会社ファンソルに対して『申入書』を送付しました。」2020.08.11
- 消費者支援機構関西「申入書」2020.08.07(注4)
- ファンソル公式サイト(注5)
注
- 消費者支援機構関西の申入書に対し、ファンソル側から2020年11月24日付で回答があったが、事実上、回答の延期を通告するもので、解散の予定には一切触れていなかったそうだ。被害者に対する返金を回避する目的で、ファンソル側は今回の解散の準備を秘密裏に進めてきたことを示す動かぬ証拠であろう。
- ファンソルの解散公告に言及する書き込みがインターネットの匿名掲示板にあると、その上に無意味な書き込みを大量に投入して人目につかないようにする、いわゆる「あらし」行為が現在も続けられている。たとえばここやここなど。
- 消費者支援機構関西は Wellness Daily News の取材に対し、期限までにファンソルから回答がない場合に訴訟に進むかどうかは「その時点でまた検討する」と述べたようだが、結局訴訟を提起するには至らなかった。これに対し、京都消費者ネットワークは差止請求の23日後にロータシア製薬を提訴している。
- 消費者支援機構関西は申入書の回答期限を2020年8月31日としていたが、それまでに回答しない場合にどうするかを何も示していなかった。
- ファンソルの公式サイトには今に至るまで解散に関する情報が一切ない。News 欄の最新情報は2020年8月28日付で、とあるサービスの終了を告知する内容だが、そのころすでに解散の準備を進めていたということだろう。