日本刀横領事件 被告の控訴棄却
高裁金沢支部

 
　複数の客から預かった日本刀を返却しなかったとする業務上横領と強制執行行為妨害、銃刀法違反（所持）の罪に問われ一審福井地裁で懲役３年などの判決を受けた福井市田原２丁目、刀剣販売・修理会社「勝山剣光堂」代表取締役勝山智充被告(50)と同社の控訴審判決公判が28日、名古屋高裁金沢支部であった。石川恭司裁判長（栗原保裁判長代読）は一審判決を支持、被告側の控訴を棄却した。被告側は即日上告した。
　石川裁判長は判決理由で、被告側が一審判決に事実誤認や法令適用の誤リがあると主張したことに対し「いずれも誤りはない」と指摘。量刑不当についても「被害者らに理不尽な対応をした上、司法手続きを軽視するなど態様は執拗［しつよう］かつ悪質。反省態度もみられない」と退けた。
　判決によると、被告は２０１１年から14年にかけ、修理や鞘の製作のため３人の客から預かった計２００万円相当の刀身などを横領した。15年９月の福井地裁による回収の強制執行に偽って模造刀などを交付し妨害。16年５月には、金属弾丸を発射できる鉄砲１丁や軍刀９本、模造拳銃８丁を不法に所持した。
　一審では被告に懲役３年の実刑と模造拳銃２丁の没収、同社に対しては罰金20万円が言い渡されている。
 

出典

『福井新聞』2019年03月29日、31面