お刀業者にご用心
業務上横領など複数の罪状で実刑判決を受け、現在服役中の勝山智充受刑者は日本刀の横領を正当化するにあたり、たとえば次のような論法を用いていました。
私共は立場上、御刀にとって最良の状態を考えなければなりません。
ゆえに、お客様の気持ちを満足させるためのサービス業ではなく文化財優先でありお客様の都合による諸事情は優先項目に該当しないのです。
ご不満かもしれませんが、興味本位で御刀を触る以上はその責任が九枚笹さまにも
発生して然ります。
御刀優先に考えられない方々は、自分の都合で御刀を犠牲にし、自己満足を得ようとします。
このような方々は御刀に触れてはいけませんので厳しく指導させて頂きます。(注1)
などと言って顧客から預かった日本刀の返還を拒否するわけです。修理と称して数々の日本刀に回復不能の損害を与えてきたDIY刀職、勝山 “長運矢” 智充の発言としては、欺瞞に満ちた身勝手に過ぎるものと言わねばなりませんが、それはさておき、ここで取り上げたいのは勝山受刑者が繰り返し用いている「御刀」という言葉です。当サイトをご覧の方から、この言葉は「カネ換算しか能の無い美術刀剣屋がよく使うハッタリ用語」とのご指摘をいただきました。「病院でよく使われている『患者様』と同様の誇大広告的業界用語」だそうで「刀剣=高価な美術品という価値観のみが異様に肥大化している現状を、よく表している言葉」とのことです。ちなみに、以前このサイトで取り上げた勝山剣光堂の類似業者も、顧客に宛てた電子メールで盛んに「お刀」という言葉を使っている事実があります。
勝山智充受刑者は、江戸時代の「刀鍛冶はというと、特別職にあって、武士と同等またはそれ以上の地位。いわゆる大名格を有していた」だとか「刀匠(刀工・刀鍛冶)は軍需を担う面と、宗教観念の掟の厳しい世界の狭間に居る、とても特殊な立場であった」(注2)という珍説・奇説(でたらめ)を発表して、刀剣関係の職業は高貴で神秘的なものだと他人に思わせようとしているのですが、この御刀という言葉も、問題のある刀剣業者が自分を特別な存在に見せかけるために使う、気取った演出の一つでしょう。こうした言葉を使うことが由緒正しい礼儀作法にかなうわけではないし、ましてや武士道とは何の関係もありません。
注
- 刀剣横領事件に巻き込まれました。< 九枚笹のブログ < Ameba(2018年06月20日)。強調は引用者。
- 福井の歴史と文化 シリーズその3 < 株式会社勝山剣光堂 < Facebook(2012年09月03日){at, kn}
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