会社に返還命令判決
地裁 日本刀の横領訴訟
中日新聞 2017年09月21日
預けた日本刀を返却しなかったとして、県内など十一府県の刀剣愛好家ら十七人が、業務上横領罪などで公判中の勝山智充被告(四八)=福井市=が代表取締役を務める刀剣販売修理会社「勝山剣光堂」(同市)に返還を求めていた民事訴訟で、福井地裁は二十日、刀計二十二振りと付属品など全ての引き渡しを同社に命じる判決を言い渡した。
元顧客は二〇一三年から一六年にかけ、修理や委託販売の契約で刀を預けたが、同社の対応が悪かったなどとして契約解除と刀などの返還を求めた。だが、会社側は「仕事を完成させるまで(原告側が)待つと約束したはずだ」などと主張。契約時の約款を根拠とし、キャンセル料を支払わなければ所有権は同社に移るなどとして返還を拒んでいた。
林潤裁判長は判決理由で「(原告が)契約を解除する権利が制限される理由はない」と指摘。会社側が「契約時に途中で解除できないことで合意していた」と主張していた点についても「原告らの利益を一方的に害するもの」とし、消費者契約法により合意は無効だったとした。
元顧客六十人でつくる被害者の会は市内で会見を開き、代理人弁護士は「会社が判決に従うかは未知数。(引き渡し命令に応じない場合は)裁判所を介して強制執行するなど、しかるべき処置をしていきたい」と話した。
出典
『中日新聞』2017年09月21日、朝刊、福井版、10版、18面